柏原池の美少女(昔話1)

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■柏原池の美少女                         

 もう今からずっと昔のことです。

 石岡が府中とよばれ、今石岡小学校があるところに平氏の本家である大掾氏(だいじょうし)が城を築いていた頃のお話です。

その頃、街はずれにある柏原池は今の何倍もの大きな池で、すぐそばにそびえる竜神山からきれいな水が絶えることなく流れておりました。

街にはお城の侍や商人たちが何時もあふれていてにぎやかな日々が続いていました。

そんなある時、町の人びとの間で月の美しい晩にこの柏原池にそれは美しい少女が現れるといううわさ話が広がりました。

また、この様な晩に竜神山から竜が池に向かって舞い降り、朝方に山の頂めがけて長い竜がくねくねと登って行くのを見た人がいるとの話もありました。

これは竜神山の竜が美しい少女に化けてやって来ているのだと噂は広がって行きました。

しかし、街の若者たちは皆、例え竜でもこの美しい娘を一度で良いから見て見たいものだと話しあっていました。

 そんな中、一人の府中の街で評判の勇敢な若武者がこの噂の美少女に一目でよいから会いたいものだと出かけて行きました。

それは、ある月の澄んだ静かな秋の晩のことでした。

池には周りの木々の影が月明かりで墨絵のように映り、池の表面は鏡のように静かで月もその姿をくっきりと写し、絵にも言われぬ美しい光景が広がっていました。

若武者は池のほとりに腰かけると、手にした横笛を口に当ててと静かに吹き出しました。

静かな池に美しい音色が響いていきました。

すると何処からともなく美しい娘が現われ、この若武者の横に腰かけ、二人はぴったりと寄り添うようにこしかけました。

二人は美しい景色を眺め、若者の吹く笛の音が二人を包んでいきました。

誰が見ても美しい男女はお似合いの二人に見えました。

二人は夜の更けるのも忘れ、たのしそうに語らい、また池の周りを仲良く肩を寄せ合い歩きまわりました。

その二人の姿は鏡のような池に映り、二人もそれを楽しむかのようにいつまでも離れようとしませんでした。

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 翌朝、村人が池に行ってみると、この美しい若武者は水面に死体となって浮かんでいました。
しかしその顔は幸せそうに微笑んでいたと言います。

 村人たちは、この若くて美しい若武者を憐れみ、ねんごろに葬り、池の畔に祠を建てました。

 若武者の死後、この美しい少女は姿を表すことはなく、村人もこの娘は竜になって竜神山に帰ったにちがいないと噂したのでした。

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そして、それからしばらくして子供たちの間で不思議な遊びが行われるようになりました。

この池のほとりに建てられた祠の廻りを、息をつかずに足けんけんして、三べん廻ると竜が出てくると誰とも無く言い始めたのです。

でも誰も怖がって途中で足をついたりして最後まで廻った子供はいないのです。

どうですか、竜神山の美しい竜に会いたいと思ったら祠の廻りで遊んでみませんか?
竜は姿を見せるかどうかわかりませんが、きっと鳴き声や空を美しく舞う姿を見ることができるかもしれません。

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(あとがき)
これは石岡地方に伝わる昔話を基に、少しアレンジしてお話としました。
これからいくつかのお話に時々、アレンジを加えて見たいと思います。
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石岡地方の昔話 | コメント(0) | 2014/08/29 19:22
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