清涼寺の狢(むじな)(昔話20)

・清涼寺の狢(むじな)

 石岡市内の清涼寺に江戸時代末期頃に一匹の古狢が棲んでいた。

この古狢は昼間は寺の境内の竹藪の中にある池の脇にある穴の中にいて、夜になると寺の大きな杉の木に登って、お月様に化けたり、通る人に砂をかけたりするいたずら好きであった。

また、寺の南の長屋に鴉の鳴きまねが上手な「鴉の長さん」と呼ばれる男が住んでいた。
ある晩に、この長さんの雨戸をトントンと叩く者があり、長さんが雨戸を開けてみても誰もいなかった。

そんなことが幾晩も続き、あまりにしつこいのでこれは寺に棲む狢の仕業だと思い、長さんは黙っていることに決めた。

いたずら好きの古狢は、いつものように長さんの戸を叩いたが、長さんの返事がないため面白くなくなりそのまま帰っていった。

それから何日かたったある日に、近所の子供たちがこの寺の狢退治をしようと相談をして集まった。

子供たちは狢の穴にとうがらしに火をつけて煙を狢の棲む穴に流し込んだ。
そして狢が出てきたら懲らしめてやろうと待ち構えていた。

すると寺の本堂の方から大きな声で

「こらー、お前たち。本堂が煙で一杯じゃ。涙とくさみがでてかなわん」

とこわい顔をした方丈さんが現れたので、子供たちは驚いて一斉に逃げ出した。

でもそれ以来、寺の古狢は姿を現さなくなったという。

その時の方丈さんこそ、狢が最後の化け姿であったのではないかと言い伝えられています。



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(あとがき)

狢(むじな)が出てくる話はいくつか残されおり、昔はタヌキと狢はあまり区別されていないようです。
地方によってタヌキやアナグマなどを狢と呼んだりしていますが、人を騙すものを狢と呼んでいるのかもしれません。
狢が木に登って月に化けるというのも何処かかわいらしさがありますね。

夜暗い時に、月明かりが狢に見えたりしたのかもしれません。
清涼寺は石岡に佐竹氏が治めていた時に佐竹家の菩提寺になりました。
そして秋田に移る時に秋田にも清涼寺が移りましたが、こちらにも残されて現在まで続いている寺です。

この話は鴉の鳴きまねが上手な「鴉の長さん」がでてきますが、何故か同じ狢とはいえ子供たちの話との関連性は良くわかりません。違った話が2つつなげたように並んでいます。
私はこの愛嬌のある狢が少し可哀そうになりました。
皆さんはいかがですか。

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石岡地方の昔話 | コメント(0) | 2014/11/29 22:07
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